学校での体験活動

都立石神井高校での出張授業レポート
―「読むことをあきらめさせない社会」の実現に向けて―

2025年7月17日、東京都立石神井高校にて、「誰もが読書を楽しめる社会」をテーマに、学年規模の読書バリアフリー体験授業を実施しました。本授業は東京都教育庁「インクルーシブな学び」プログラムの一環として行われ、約280名の2年生が参加しました。

授業は、1~3限の3コマを使って実施され、講義・体験・対話を組み合わせた構成となっています。

【1】講義:全盲の講師・佐藤さんによる「読書バリアフリーとは」

視聴覚ホールでは、佐藤聖一さんから読書バリアフリー法の目的や読書困難者を取り巻く社会の現状、アクセシブルな本(バリアフリー図書)について講義が行われました。また、中途視覚障害者としての生き方や、社会モデルについての話など、その実体験を交えたお話は、多くの生徒の心に響いたようです。

講義後のアンケートでは、生徒の97.8%が「この体験会は障害者の教育や学びに役立つと思う」と回答。

多くの生徒が、“読む権利”の重みと、障害のある人への合理的配慮の必要性を実感しました。

【2】体験:視覚障害者サポート体験

講義の最後に、佐藤さんから視覚障害者ガイドの方法についてレクチャーがあり、各グループから1組がアイマスクをして次の会場に移動する体験を行いました。目が見えない役は視覚情報に頼らずに行動する難しさ、サポートする側は介助の際の配慮の大切さを体感したようです。

アンケートの声

「目が見えない人の体験をする側だけでなく、サポートする側も具体的に説明をしなければならなかったりして、気をつける点が沢山あると感じました。全く知識がなかったけれど、考えを深めることができました。」

「講演に加えて、目の見えない人の体験を取り入れていたので、より理解が深まった。」

【3】アクセシブルな図書体験

各会場では、アクセシブルな本に触れる体験が行われました。大活字本、点字つき絵本、マルチメディアデイジー、布絵本、LLブックなど、多様な読書の方法を紹介し、実際に手に取って読むことで、普段の読書以外を知るきっかけとなりました。
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体験中の様子

体験後のアンケートでは、初めてアクセシブルな本に触れたという生徒が多数を占めました。
また、 印象に残った図書では、「布の本」「点字つき絵本」「大きな活字の本」などが多く選ばれました。

小見出し
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参加者の声(アンケートより)

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「今日紹介してもらったバリアフリーの本は全然知らなくて新しい発見ができて面白かったです。」
「大きい字の本に関して、健常者である自分でも普段の小さい文字よりも今回見た大きい文字の方が読みやすいし、読んでみたい!という気持ちにもなった。」
「私は本を読むことがあまり好きではないので、アクセシブルな本を色々読んで自分にあった形を見つけてみたいです。」
「印象に残ったものは、LLブックです。文字がない本でも写真が多くあって想像して楽しむことができそうだったので障害の有無に関係なく楽しめるものもあると思いました。」

【4】グループトークと発表:対話から深まる学び

体験会のあと、4~5人の小グループに分かれ、次の2つのテーマについて話し合いました。

・講演会や本の体験からの「気づき」
・誰もが読書を楽しめる社会のために自分たちができること
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グループトークの様子

このトークの中で、「点字の本以外にもこんなにたくさんのバリアフリー図書があるとは知らなかった」「本の値段が高すぎるからもっと安くなれば手に取りやすいと思った」「点字を読めるのはすごいことだと思う」など、多様な気づきが生まれました。さらに、「今日の学びをもっと深めてSNSなどを活用して広めたい」「読み聞かせボランティアに参加して子どもたちにも知ってもらう」など、次のアクションにつながるアイデアも多く出されました。
話し合いの最後には、10のグループが発表を行いました。それぞれの発表後には、佐藤講師が一つ一つの発言に丁寧に答えながら、生徒と対話を重ねていきました。その姿勢により、発表をしなかった生徒たちの気づきも自然と深まり、会場全体が一体となる時間となりました。

【5】アンケートから見えたこと

アンケートには227件の回答がありました。多くの生徒が体験を通して「読むことの多様性」と「配慮のあり方」に気づき、将来的な行動の変化につながる可能性を示しています。

「自分の視点以外のことを知れて興味深く楽しく学べました。」
「もっとたくさんの人にバリアフリー図書が広まり、手に取りやすくなってほしいなと思いました。」
「普段とは全く違う経験をして、大変だなと思ったけど、その分私たちに出来ることがより見つかった気がして行動に移せたらいいなと思った。」
「今回の読書バリアフリー体験会に参加して、普段何気なく読んでいる本が、視覚や発達に困難を抱える人にとっては大きな壁になっていることを実感しました。」
「これらの本にもっと小さい頃(絵本などを読む時期)に触れておきたかったと思いました。だから私たちより、下の世代がそれをできるように、私たちが広める立場にならないといけないと思いました。」

また、「アクセシブルな本のことを誰かに伝えたいと思いますか?」という問いには、95%が「はい」と回答

伝えたい相手としては「家族」「友人」「障害のある人」「福祉の仕事の人」などが挙げられました。また「特別じゃなく全員に」という意見もありました。

「アクセシブルな本についての情報を広げるには?」という質問では、高校生という属性が理由と思われますが、「学校で知らせる」「SNSで知らせる」が上位になりました。

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アンケート結果

【6】支えてくださった皆さんへ

教員の皆さまには、会場設営、グループ調整、資料の用意など、事前準備から当日の運営まで多大なご協力をいただきました。近隣の図書館や特別支援学校からは資料提供をいただき、実施に向けた心強い支援をいただきました。この場をお借りして心より感謝申し上げます。

アンケートの声

「体験型で感覚的にも学べるのがいいと思った。また、学校が様々な障がい者向けの本やその説明資料を用意してくれておかげで、幅広い知識を得ることができたと感じました。」

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当日の様子

【7】今後に向けて

今回の体験会は、都立高校では初の大規模実施でした。りんごプロジェクトとしても多くの学びと反省がありました。限られた時間の中で、図書体験がやや流れ作業的になってしまった点や、視覚障害者サポート体験の時間確保など、今後の改善点として検討していきたいと思います。

それでも、生徒の皆さん一人ひとりが真剣に取り組み、自分の言葉で「伝えたいこと」を持ち帰ってくれたことは、私たちにとって大きな希望です。今後また学校現場と連携する機会があれば、今回の経験をもとにさらに充実した内容にしていきたいと思います。

※この体験会は、東京都教育庁が推進する「インクルーシブな学びプログラム」の一環として実施されました。

清瀬特別支援学校での出張授業

2025年7月2日、東京都立清瀬特別支援学校にて、りんごプロジェクトによる「読書バリアフリー」の出張授業を実施しました。
この授業は、東京都教育庁による「インクルーシブな学び推進プログラム」の一環として実施されたものです。

対象は小学2年生31名。知的障害のある子どもたちが2グループに分かれて、約40分ずつ多様な読書体験にふれました。

今回の授業では、布絵本・さわる絵本・点字つき絵本など、文字を読まずとも楽しめる「アクセシブルな本」を自由に手に取る体験を用意し、後半には先生による読み聞かせも行われました。子どもたちは初めて見る本との出会いに驚きながらも、それぞれのペースで楽しんでいる様子が見られました。
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体験の様子

図書室の印象と図書環境について

現在、清瀬特別支援学校は仮設校舎にありますが、図書室には比較的新しい本がきれいに整えられており、落ち着いた空間の中で子どもたちが本と向き合える環境がありました。 読み聞かせの時間には、子どもたちが自然と耳を傾け楽しんでいる様子から、先生方が日ごろから丁寧に読み聞かせを行っていることが伝わってきました。

一方で、特別支援学校の多くでは、教室不足の影響から図書室が十分に機能していないケースもあります。特別支援学校にも図書司書が配置され、日常的に子どもたちが本と出会える環境が整うことが、今後ますます望まれます。

参加者の声(アンケートより)

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授業後に実施した教職員向けアンケートに寄せられた声を一部紹介します。「布絵本」「さわる絵本」が印象に残ったという声が多く聞かれました。

・「文字が読めなくても楽しめる本があることを初めて知り、ためになった」
・「教材づくりのヒントになった」
・「子どもが興味を示していた。布絵本は自分でも作れるかもしれないと感じた」

一方で、「自由に触るだけでは、本の良さが十分に伝わらない可能性もある」という率直なご意見もあり、今後の体験会の構成をより工夫するための貴重な示唆となりました。

視察・見学

当日は、文部科学省のご担当者にもご視察いただきました。 読書が単なる知識の獲得ではなく、子どもたちの「関わる力」「楽しむ力」「自己表現する力」へとつながっていることを、あらためて感じていただける機会となったのではないかと思います。

スタッフのふりかえり 〜現場で見えてきたこと〜

今回の出張授業を通じて、スタッフ自身も多くの気づきを得ました。

特に印象的だったのは、前後半で対象となった子どもたちの障害特性によって、関心を示す読書スタイルが異なっていた点です。

前半(知的障害の重度が中心)では、「触る読書」(布絵本や点字絵本)に人気が集中し、オーディオ系の図書はあまり選ばれませんでした。

一方、後半(知的障害の軽度や自閉傾向のある子どもたち)では、「聴く読書」や、自分にとって快適な場所で好きな本を読むという、より能動的な読書スタイルが自然と広がっていました。

また、授業冒頭の「座学」にあたる導入説明については、理解度に応じて言葉での説明よりも、まず実際に触れて・見て・聞いてから体験に入る方が意欲につながる可能性があることも感じました。

さらに、マルチメディアデイジーの活用については、学校ごとのICT環境や学年によって使用状況に差があるため一概には言えませんが、今回の現場ではタブレットの活用は慣れていない様子だったので行いませんでした。そのため、CDやオーディオブックなど「聞くだけ」の形式の方が、現場にとって導入しやすく、子どもたちにも親しみやすい可能性があります。

中でも、魚が好きなある子どもが「さかな」の点字・さわる絵本をじっくりとなでていた姿は、“好き”という気持ちが読書の入り口になることをあらためて感じさせてくれる、忘れられない場面となりました。

「読むこと」はひとつじゃない。

 誰にでも、自分の方法で「読める」世界を。 りんごプロジェクトはこれからも、子どもたちにとって「本との出会い」が豊かな経験になるよう、取り組みを続けていきます。

八丈特別支援学校での読書バリアフリー体験会
― 地域とつながる「読む」体験を、島の教室から ―

2025年7月、東京都立青鳥特別支援学校八丈分教室にて、りんごプロジェクトによる読書バリアフリー体験会を実施しました。今回の対象は高等部の生徒で、参加人数は少人数ながら、じっくりと本と向き合う豊かな時間が生まれました。

体験会では、LLブック、布絵本、点字つき絵本、大活字本、マルチメディアデイジーなど、多様なアクセシブル図書を展示し、生徒自身が自由に手に取って楽しめるよう工夫しました。また、タブレットや音声再生機器など、視覚や聴覚を補うツールも活用しました。

はじめは教員に勧められて本に触れていた生徒も、やがて自ら手を伸ばし、「もっと見たい」「もっとやってみたい」と主体的に本と関わる姿勢を見せてくれました。ヘッドホンで音声を聴き、手ざわりで楽しむ絵本に触れる中で、「読むこと」がさまざまなかたちで広がっていく様子が印象的でした。

また、視察に訪れた東京都教育庁の方々や、複数の教職員の皆さんも関心を持って展示に参加され、読書バリアフリーへの理解と関心の広がりを感じる機会にもなりました。

体験後に寄せられた教員アンケートには、次のような声が寄せられました。

「視覚的、触覚的にとても分かりやすい本が多く、生徒が興味津々で本に触れていました。生徒が主体的に読書に向き合うには彼らの周りに、自分に合う本がある環境を築いていくことが、何より大切と感じました。」

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・・・本と向き合う・・・

八丈高校の中でともに学ぶということ

青鳥特別支援学校八丈分教室は、八丈高校の校舎内に併設されており、日常的に八丈高校の生徒たちと交流する機会があります。行事や日常の場面をともに過ごす環境は、まさにインクルーシブな学びの土壌と言えるでしょう。また、学校図書館は玄関のすぐそばにあり、地域の人々にも開かれた空間となっている点が特徴的です
島ことばの文化にふれる
今回の訪問では、八丈島の文化に触れる貴重な出会いもありました。そのひとつが、「八丈・島ことばかるた布絵本」。布地で丁寧に仕立てられたこの作品は、地元の方が制作した力作で、島のことばや風習を親しみやすい形で伝えてくれます。
  一枚一枚に手刺繍やアップリケが施されており、視覚・触覚の両面から楽しめる作品です。黄八丈の表紙デザインもステキです。 この布絵本のように、地域に根ざした文化と出会えることが、読書の魅力をさらに広げてくれるのだと感じました。
地域にひらく読書の場を

特別支援学校の高等部において、「読書」が就労に直結する場面は多くないかもしれません。しかし、卒業後の人生の方が長く、地域で暮らしていく彼らにとって、公共図書館や、地域に開かれた学校図書館が「自分の居場所」のひとつになることは、とても大切なことだと私たちは考えます。

地域の中に、ふと立ち寄れる場所が一つでも多くあること。 誰かと静かに過ごせる場所、ひとりで本と向き合える場所があること
そのことが、本人の生きやすさや安心感につながっていくのではないでしょうか。

今回の八丈での取り組みは、小さな一歩かもしれませんが、生徒の変化と学校現場のまなざしから、多くの希望を感じる一日となりました。

今後もりんごプロジェクトは、地域とつながる「読む権利」の実現に向けて、ひとつずつ丁寧に歩みを進めていきます。

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八丈島の風景 


小金井特別支援学校での「読書バリアフリー体験会」

2025年6月3日(火)と5日(木)、東京都立小金井特別支援学校にて、りんごプロジェクトによる「読書バリアフリー体験会」を実施しました。小学部2・3年生を対象に、1日あたり2グループずつ、計4回の体験を行いました。今回の体験会は、りんごプロジェクトにとっても特別支援学校での実施はまだ前例の少ない取り組みであり、非常に貴重な経験となりました。とりわけ、小学部2・3年生の児童を対象にどのような読書体験授業を構成すればよいか、試行錯誤を重ねながら準備を進めてきました。「読む・聴く・さわる・感じる」――子どもたちの多様な受け取り方に応じて、どんなアプローチが届くのかを模索する中での2日間でした。結果としては、子どもたち一人ひとりが自分のペースで“お気に入りの一冊”と出会い、豊かな表情で本に触れる姿が見られたことは、私たちにとっても大きな手ごたえとなりました。この経験は、今後の特別支援教育との連携や、さらに低年齢層への読書バリアフリーの広がりに向けた、確かな一歩となるものです。
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アクセシブルな図書紹介の様子

子どもたち自ら絵本を手に取り、感覚を使って楽しむ時間や、読み上げ機能付きのマルチメディアデイジー図書体験を通じて、子どもたちは自分に合った読書方法や、お気に入り一冊を見つけることができました。授業の最後には、「どの本が気に入った?」「読みやすかった?」など、思い思いの感想を発表してくれました。

先生方からは「子どもたちが目を輝かせて取り組んでいた」「もっとやってみたいという声が多かった」とのお声をいただきました。子どもたち一人ひとりが読書にアクセスできる環境づくりの大切さを改めて実感しました。
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様々な読書方法を体験している様子

また、校内に設置されていたピクトグラムやサインの工夫も印象的でした。視覚的に分かりやすく、誰にとっても使いやすい環境整備がなされており、特別支援学校だけでなく、すべての学校で取り入れられると良いと感じました。
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校内設置のピクトグラム

また、体験会後に実施したアンケート結果からも、子どもたちにとって本に触れる喜びや、新しい読み方との出会いがあっただけでなく、先生方にも大きな気づきや刺激があったことがうかがえました。
「児童たちが積極的に本を手に取り読んでいる姿が印象的だった」「アクセシブルな図書の存在を知るきっかけになった」「読むだけが本ではないことを知った」といった声が寄せられ、あらためて、このような読書体験の場が、児童と教員双方の“学びと出会い”を生む機会となっていることを実感しています。

ご協力に感謝をこめて
今回の体験会は、小金井特別支援学校の先生方が事前準備から当日の運営まであたたかくご協力くださったことで実現しました。また、子どもたちの様子を見守り、支えてくださった教職員の皆さまの姿勢に、私たちも大きな学びと励ましをいただきました。 りんごプロジェクトの取り組みに興味を持ち、共に活動してくださったことに心より感謝申し上げます。

「誰もが読書を楽しめる社会に向けて--赤羽北桜高校での出張授業

2025年6月11日(水)と25日(水)の2日間にわたり、東京都立赤羽北桜高等学校にて、りんごプロジェクトによる出張授業を実施しました。対象は保育栄養科の3年生の皆さん。読書バリアフリー法の意義やアクセシブルな図書の種類、全盲の佐藤聖一さんの話を聞き、共生社会について自分ごととして考える時間となりました。

生徒たちの素直な声と気づき

授業後に実施したアンケートには、2日間で54名が回答。感想の中に「さまざまな本のことを知れてとても良かった」「読書バリアフリーを知る貴重な体験ができた」「身近な人に知らせたい」といった声が多く寄せられました。

授業の最後に時間を確保してアンケートを記入してもらったことで、11日(64%)、25日(88%)と高い回答率となりました。

自由記述には以下のような声が寄せられました(一部抜粋):
  • 「今回のりんごプロジェクトについてお話を聞いて初めて知ったことが多くとても勉強になった。障がいを持っている人だけではなくすべての人に知ってもらいたい。」
  • 「今まで曖昧にしか知らなかったことが細かく分かると色々な社会問題や障がい者の苦労が分かって自分も助けになりたいと思った」
  • 「家族や友達などの身近に人に教えてあげて読書バリアフリーについて知ってもらいたい」
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授業の様子

グループディスカッションから生まれた“私たちにできること”

授業の後半では、「誰もが読書を楽しめる社会のために、自分たちができること」をテーマにグループディスカッションを行い、各グループが前向きなアイデアを発表しました。
以下は、その中から印象的だった意見の一部です:
  • SNSやイベントで「読書バリアフリー」を広める
  • 学校にポスターを貼ったり、文化祭の出し物で知らせる
  • 地域の図書館や小学校などで読み聞かせの機会を作る
  • 布絵本を作ったり、ボランティアでサポート活動に関わる
  • 「知る」ことから始める、自分の身近な人にも伝えていく

どの班からも、「当たり前に読めることが当たり前じゃない」「誰かの困りごとを自分のこととして考えることが大事」という気づきが感じられました。
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グループディスカッションの様子

将来、保育の現場へ——生徒の皆さんへの期待と感謝
今回授業を受けてくださったのは、将来、保育の現場で働くことを志している生徒の皆さんです。小さい頃からアクセシブルな図書に出会える環境を整えることは、すべての子どもたちの学びの基盤を支える大切な要素です。そして、それを支える保育士や保護者、教育関係者といった『大人』の理解と行動が欠かせません。

生徒の皆さんが、今回の学びを通じて、将来子どもたちに寄り添い、誰一人取り残さない環境づくりの担い手になってくださることを願ってやみません。

このような機会をいただけたことに、心より感謝申し上げます。

横浜市立本牧南小学校での「総合的な学習の時間」

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当日の授業の様子

2023年10月30日、横浜市立本牧南小学校で、再び5年生を対象としたバリアフリー図書の体験会を実施しました。
今回は、近隣の図書館から80冊近いバリアフリー図書をご用意いただきました。
講師の佐藤さんのレクチャーの後、子どもたちは自由に本を手に取り、LLブックや点字付きの迷路、マルチメディアデイジーなどの魅力的な本に夢中になっていました。
体験会の後は質問コーナーを行いました。「布えほんは、手作りなのですか?」 「スウェーデンのりんごの棚との出会いはどんなふうでしたか?」など、子どもたちからのさまざまな質問が寄せられました。
中でも特人称的だったのは「佐藤さんは、目が見えなくて、本(録音図書のこと)を作るのは大変だなと思うことはありますか?」という質問への佐藤さんの回答でした。
「目が見えないからできることがありますよ。音訳者の人に、そこの説明はもう少し詳しくしてほしいとか、目が見えないからわかることがあるんですよ。仕事は分担すればいいんじゃないかな。適材適所が大切なんじゃないかな」
みんなそれぞれ違うからできることも違うはず・・・まさにそのような気づきをもたらす質疑応答でした。
また、担任の先生からも、「りんごプロジェクトの取り組みは、誰もが助かるものなので、障害など関係なく、みんなに深く関係があるので、どんどん広めていきたいと思いました。今回、SDGsなどの内容にも関わるので、総合的な学習の時間で取り組ませていただき、子どもたちも私自身も学ばせていただきました。」との感想をいただきました。

横浜市立本牧南小学校5年生の皆さん、ありがとうございました!

横浜市立杉田小学校での体験会

2023年9月21日、横浜市立杉田小学校6年生のクラスで体験会を行いました。杉田小学校は、今年度150周年を迎える歴史ある大きな学校です。図書館も広く入室には上履きを脱ぎます。光がさす窓側には小上がりがあったり、隠れ家的な手作りの小屋があったりとても贅沢なつくりになっています。体験会はその図書館で行いました。

6年のクラスの子どもたちは、総合の授業でSDGsについて勉強はしてきたけれど、「人権」についてもっと理解を深めたい、過去にシトラスリボンプロジェクト*についても学習したことがあるというので、今回りんごプロジェクトが呼ばれることになりました。

「なんだろう?」という表情で、講師の佐藤さんのお話しを聞いていた子どもたちも、実際に本を手に取るとLLブックや点訳絵本、大活字本、布絵本やマルチメディアデイジーとの出会いに目を輝かせていました。質問コーナーでは、布絵本の作り方について教えて欲しいというのがありました。自分たちでできることを探している姿があってとても素晴らしいと思いました。杉田小学校にも「りんごの棚」ができた際には、ぜひ子どもたちの手作り布絵本を置いて欲しいと思いました。

*シトラスリボンプロジェクト:コロナ禍で生まれた偏見・差別をなくし、誰もが地域の中で笑顔のある暮らしを取り戻せる社会にしようと、愛媛県の有志によって始められた。
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当日の様子


横浜市立本牧南小学校での読書体験会

2023年5月10日(水)横浜市立本牧南(ほんもくみなみ)小学校の3・4年生に向けて、読書の体験会を行いました。

本牧南小学校は、この春、子どもの読書活動優秀実践校として文部科学大臣表彰を受賞しました。同校は、SDGsの活動も盛んで1日1SDGsを合言葉にいろいろな観点からSDGsに繋がることについて学習アプリを通じて意見交換しているそうです。そしてコロナ禍より「シトラスリボンプロジェクト」という活動も続けてきました。これは、シトラス色のリボンやロゴを身につけて、「一人ひとりがそれぞれの暮らしの中で「ただいま」「おかえり」を温かく受け入れる気持ちを表し、思いやりと温もりのある地域づくりを進める」愛媛県発のプロジェクトだそうです。今回、本牧南小さんが推進しているこの活動と私どもの「りんごプロジェクト」をかけ合わせて「シトりんプロジェクト」を学校司書の方が図書委員会の子どもたちと一緒に立ち上げてくれました。「本を通じて人とのふれあいを〜本を通じて自分たちにできることを考える」という1年かけてのプロジェクトです。

体育館に集まった3・4年生(約90名)はアクセシブルな本のお話しのあと、用意された80冊におよぶアクセシブルな本を体験しました。本好きの多い子どもたちは、好奇心の眼差しで普段読んでいる本とは違ったものが並ぶテーブルの前に殺到しました。LLブック「わたしのかぞく」(樹村房)を開いて写真を見ながらストーリーを説明する子ども、床で「めいろ」の本を広げて指で一所懸命なぞる子ども、マルチメディアデイジーに釘付けになる子どもなど、どの子どもも目を輝かせていました。

体験会後の子どもたちの振り返りカードでは、「点字を読んでみたい。」「今日学んだことを家族に話します。」「シトりんプロジェクトをやっている人と協力をしたいです。目が見えない人でも目が見える人も読める本を作りたいです。」など他にもたくさんアクセシブルな本への理解を示す言葉がありました。

学校図書館には、子どもたちのアイドルである最先端テクノロジー搭載の人工生命体LAVOTのチョコちゃんが学校司書さんと働いています。赤い服を着たチョコちゃんはまるでりんごのようです。今後どのように「シトりんプロジェクト」、そして「りんごの棚」が本牧南小にできていくのかとても楽しみです。

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当日の様子 


横浜和泉小学校 総合的な学習 出前授業

2022年12月22日(木)の5・6時間目に、4年生27名のクラスの総合的な学習の時間に佐藤講師が伺い出前授業を行いました。横浜市立和泉小学校は、全校児童375人、横浜市の西部に位置する泉区の田園風景の中にあります。子どもたちは、「視覚障害」「聴覚障害」「肢体不自由者」「パラリンピック」をテーマに調べ学習を行っていました。その中で「視覚障害」について学習している児童のグループから、「視覚障害の方がどのような生活を送っているのか」「視覚障害の方に対してできることはないのか」「点字の本にはどのようなものがあるのか」などの疑問がわき、さらに和泉小の学校・地域コーディネーターの方から「りんごプロジェクト」というものがあるという話しを聞いて、子どもたちが「りんごの棚」に興味をもったこと、以上の2点から、今回の出前授業につながりました。 学校に到着して温かい歓迎を受け、校長室に案内されて挨拶をした後、元気な子どもたち数人が4Fの教室まで佐藤講師を介助して案内してくれました。教室の中に入って教卓の前に座って白杖を置くまで、「気をつけてください!」という子どもたちの声が飛び交います。 

今回の出前授業は、いつものりんごプロジェクトの「アクセシブルな本の紹介」だけでなく「視覚障害とは」「視覚障害者の生活」などにもふれ、子どもたちの興味関心を大変惹きつけたと思います。 「どうやってご飯は食べますか」「お風呂はどうやって入りますか」「お金はどうやって払いますか」「どうして白杖というのですか」「白杖が折れたらどうしますか」「どんな感じで見えなくなったのですか」「不安じゃないですか」など、日常生活のことから核心をつくような様々な質問が出ました。佐藤講師は、子どもたちの質問に丁寧に答えていきました。“白杖はちょっと先がわかる程度のもので折れにくいカーボン製のものを、携帯用の折りたたみ式の白状も持っている”“目が見えなくなってからはリハビリテーションセンターに行って訓練を受けた。点字は誰でも読めるというわけではなく、読むには指先の感覚を鍛える必要がある。自立するためには、視覚以外の感覚(聴覚・触覚・嗅覚・味覚)をスーパーに鍛えなくてはならない。人間はどこかに障害があると、それ以外の部分が発達して補おうとする。だから障害者はスーパーマン!”“ただし、スーパーになれない障害者も多い。ありのままの自分を認めて自分の能力の中で生きていくことができるか、それが大事。”という深いお話しもしてくれました。
後半はアクセシブルな本の紹介です。大活字本や拡大図書、LLブック、ユニバーサル絵本、そして佐藤講師のプレクストークで録音図書の『ぐりとぐら』を、皆、目を瞑って聞きました。表紙の絵の様子を耳で聴くという体験が子どもたちの想像力をかき立てたかもしれません。その後LLブックやユニバーサル絵本、布の絵本も読んだり触ったりしてもらいました。私もデイジーが欲しいという子どもいました。

最後は、点字の体験で「点字を目で読んでみよう」です。一人ずつ点字シートが渡され、まず、「読み」と「書き」の説明。そして6点で表されるひらがなの規則性の発見など、子どもたちは小さな指で一生懸命点字をなぞっていました。多いに盛り上がっていたところで時間となり、あっという間の出前授業が終わりとなりました。子どもたちに「視覚障害者について」「アクセシブルな本」「りんごの棚」「点字」について、大変駆け足でしたがたくさんお話しをすることができました。
以下、担任の先生より送られてきた子どもたちの感想の一部です。
・昨日、佐藤さんの話を聞いて、佐藤さんは自分で服を着たり、ごはんを食べたりできるのを知り、驚きました。私は、視覚障害の方はほとんど助けてもらっていると思っていたけれど、自分で工夫したりして、自分でもできることを知って、佐藤さんの言っていたとおり、スーパーマンだと思いました。 ・自分は、目が見えない人と関わるのが少し怖かったけれど、佐藤さんに会って、目が見えない人と少し関わって、困っている人を助けてあげたいと思いました。目が見えなくても、ものすごく速いスピードで点字を触って、言葉を話しているのがすごいなと思いました。また機会があったら、点字や佐藤さんのお話を聞かせてください。 ・視覚障害者はすごいなと思いました。理由は、白杖も使いこなせるし、聴覚もするどいからです。布の本があることを佐藤さんや佐伯さんが来て初めて知りました。 ・昨日は、点字のことをいろいろ教えてくださり、ありがとうございました。私は佐藤さんの話を聞いた後、図書館へ行き、点字の本を2冊借りました。私は、その点字を覚えようとしましたが、少し難しかったので、5こぐらいしか覚えられませんでした。佐藤さんのくれた点字の紙でも練習しています。佐藤さんの話を聞いて、佐藤さんはすごいなと思いました。 素直で物怖じしない可愛らしい子どもたちでした。この授業を通して、彼らの生きる力の一役になれば幸いです。12月のお忙しい中、授業作りのために何回もやりとりしてくださった担任の先生、本を揃えてくださった学校司書の方、温かく迎えてくださった校長先生・副校長先生、見学に来てくださった横浜市いずみ中央地域ケアプラザの3名の方、そして今回「りんごプロジェクト」を理解してずっと応援してくださっている学校・地域コーディネーターさん、本当にありがとうございました。
和泉小学校の学校図書に、子どもたちの呼びかけで「りんごの棚」ができたらぜひご連絡ください。

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当日の様子


横浜市立新井中学校文化祭

2022年10月21日、横浜市立新井中学校文化祭に出展しました。

秋晴れの朝、中学校の門をくぐると「おはようございます」と元気のいい挨拶が聞こえてきました・今日は横浜市立新井中学校で2年ぶりの文化祭です。(横浜市立新井中学校)

今の中学生はコロナ禍で3年間マスク生活を強いられ、さまざまな理不尽な環境におかれた子どもたち。以前の文化祭は合唱中心だったそうですが、思い切って内容を変えて動画を中心にした発表という形で開催されました。伝統の合唱コンクールができなくなっても『新しい文化祭を作り出せるチャンス』と前向きにとらえ6ヶ月間準備をしてきたとのことみんなの想いが詰まった文化祭に、りんごプロジェクトを招待してくださり身が引き締まる思いがしました。 オープニングは各クラスの黒板アートを素晴らしい動画で紹介。そのあと各学年や部活動などの発表コンテンツをGoogle meetで各クラスに配信されました。 218名の生徒に向けて、りんごプロジェクトの活動を話しました。最後に「一人ひとり学び方は違っていい、自分の学び方を見つけてほしい」というメッセージを伝えてきました。 発表のあと図書室に行くと、そこには「りんごの棚」が作られていました。期間限定の展示ですが、昨今活字離れが課題の中学生にとっても、アクセシブルな図書は興味を引く展示だったようです。 後日、生徒さんたちから感想が届きました。・世の中にこんなに見やすい本があることを全く知りませんでした。もっとたくさんの人が楽しく読書ができるよう、りんごプロジェクトのことを周りの人に伝えたいと思いました。
・今回の話を聞いて読んでみようかなと思いました。
・僕はとてもりんごプロジェクトの活動に対して感動しました。障害をもった人は普通とは違うイメージが強いけど、それを平等にするため目が見えなくても本が読めるようにして、この活動がとても良いと思いました。
・たくさんの本の紹介をありがとうございます。それによって、本に興味を持ちました。これからもたくさんの活動を頑張ってください
・視覚障害者の方についてあまり知らなかったが細かく教えてくれてありがとうございました。
・このたびはわざわざ新井中学校まで来てくださりありがとうございました。私は小学校の時に点字のことを学んだことがあります。点字に興味はありましたが、今回点字の本があることを初めて知り、触って見たいと思いました。 
・紙に書かれた本が読みづらい人がいて、そんな人たちにいろいろな取り組みが行われていることを知れてよかったです。
・今まで知っていた障害のイメージが全く違っていて、いろいろと知れて良かったです。 今年の文化祭のテーマは「彩〜自分の色を見せつけろ〜」生徒の皆さんの大切な文化祭の1ページにりんごプロジェクトが仲間入りできたことに感謝いたします。

ありがとうございました。

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当日の様子


東京都立久我山青光学園 ”わいわまつり”

2022年10月15日、東京都立久我山青光学園PTA主催の”わいわまつり”で出張体験会を開催しました。コロナ前は飲食の出店もあり大変な賑わいだったそうですが、コロナ禍で規模を縮小しての開催です。それでもPTAの皆様の熱意は高く、児童生徒やご家族が楽しめる工夫がいっぱい。いきいきとした子どもたちの笑顔が忘れられないひと時となりました。
書店や図書館でふだん見かけることがない本を実際に触っていただくりんごプロジェクトの出張体験会は11回目となりました。佐藤講師のレクチャーから始まりアクセシブルな図書を体験していただくプログラムは毎回同じように見えて、主催者や参加者が変われば毎回違う反応が生まれます。本日は200組ほど体験会に立ち寄っていただき大盛況でした。
ボランティアで参加していた学生さんたちもお仕事の合間に立ち寄ってくれました。「マルチメディアデイジーを初めて知りました。」という感想に、まだまだ通常の学校に浸透していないんだなと改めて実感しました。紙の教科書を使う子のとなりでマルチメディアデイジー教科書を使う子も一緒に勉強することが当たり前になる日はいつ来るのでしょうか?
紙に書かれた文字が読めない、理解できないということは、学習や生活に関わる情報が得られないというとても大きな問題です。周りが気づいて環境を整えることができれば、その人の人生は大きく変わっていきます。私たちの活動が、少しでもそんな困りごとのある人の助けになれば嬉しいです。

久我山青光学園のPTAの皆様、すばらしい機会をいただきありがとうございました。

実際のスライダーの動きは、プレビュー/公開ページでご確認ください

当日の様子


筑波大学附属大塚特別支援学校

当日の様子

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